目次
はじめに
「ヘッドセットなんて、それなりのマイクが付いてて、相手の声が聞き取れれば十分だろう」とか思って購入したJBLのヘッドセット。使っている最中に相手から「なんか自分の声が返ってくるんだけど」と言われ原因究明。結果、ヘッドセット自体の不具合と分かり、愕然とした自分。
そんな自分に、音に詳しい友人から「SteelSeriesのArctis 7が良いよ」と勧められたので散々悩んだ末に購入。届いてセットアップして使ってみると、今まで使っていたヘッドセットが霞んで見える位には最高のフィット感と音。更に、遅延がほぼ無い無線ヘッドセットなのでちょっと離れたところでも十分に使える自由度の高さ。素晴らしいの一言に尽きた。
そんなベタ褒めArctis 7なのだけれども、個人的に目玉と思った機能がコレ。
ChatMix Dial
SteelSeries Arctis 7 製品概要ページより https://jp.steelseries.com/gaming-headsets/arctis-7
ゲームとゲームを続行したままのオーディオチャットの完璧なバランスを、触感のあるオンヘッドセット型のChatMix Dialと組み合わせる
怪しい日本語訳で分かり辛いが、要するにヘッドセット本体に付いているダイアル操作で、2系統の音量をクロスフェードできる……もっと詳しく書くなら、メインはボイスチャットの音声だが、ゲームの音も聞くことが出来、かつその音量を調整できると言うこと、らしい。
と、するならば、このArctis 7は再生デバイスが2系統存在している事になるので、VoiceMeeterで管理できるのでは?と言うのが、今回のテーマ。
やりたいこと
- VoiceMeeterでArctis 7の音声周りを管理したい
- デスクトップ上の音声をArctis 7で再生したい(=普通のヘッドホンとして使いたい)
- ボイスチャットの音声(自分の声、相手の声の全て)を配信でも流せる様にしたい
- ChatMix Dialで 2, 3 の音量調整を可能にしたい
用意するもの
- SteelSeries Arctis 7 ※ドライバやSteel Engineなどの諸設定済
- VoiceMeeter(無印, Banana, Potato) ※当環境ではPotatoを使用
留意点
Arctis 7ではヘッドホンに擬似7.1サラウンドの機能が備わっているが、VoiceMeeterを経由するとこの機能は使えなくなる(ステレオのみ)。なので、迫力あるサウンドをヘッドホンだけで楽しみたい人は今回の連携をオススメしない。マニュアル通りの設定を行い、その音質を十二分に楽しんで欲しい。
前提条件
予め、VoiceMeeterを既定のオーディオデバイスとして設定する必要がある。Windows 10の場合、設定(⚙アイコン) → システム → サウンド
で、以下の設定を行うことが必要。
- 再生:VoiceMeeter Input (VB-Audio VoiceMeeter VAIO)
- 入力:VoiceMeeter Output (VB-Audio VoiceMeeter VAIO)
また、利用しているボイスチャットツールの入出力デバイスを個別に設定しておく。
- 入力デバイス:VoiceMeeter Output (VB-Audio Voicemeeter VAIO)
- 出力デバイス:VoiceMeeter Aux Input (VB-Audio VoiceMeeter AUX VAIO)
デバイスを分ける理由は相手自身の声が届いてしまう(ループバック)が発生してしまうのを回避するため。また、本目的の1つであるウェブ配信で相手の声も配信に載せる事ためでもある。
配線図
イメージとしてはこんな感じ。ボイスチャットとPCのデスクトップ音声が包括で聞けて、かつ、配信とかをしても影響が無いと言う環境を目指す。
設定の実施
出力デバイスの指定
VoiceMeeterのOutput、[A1]〜と書かれた箇所でデバイスを指定する。Arctis 7のセットアップが済んでいるのであれば、以下のデバイスが選べる様になっている。
- WDM: ヘッドセット イヤフォン(Arctis 7 Chat)
- WDM: ヘッドホン(Arctis 7 Game)
- KS: Arctis 7 Chat
- KS: Arctis 7 Game
音声ドライバとしてWDM(=WASAPI)かKS(=Kernel Streaming)を使うかどうかで変わるわけだが、選んじゃダメなのは KS: Arctis 7 Game、これを選ぶと左チャンネルしか音が出ないから。何故かと聞かれたら困るが、相性の問題としか言えない。
なので、自分の環境では以下の設定とした。
- [A2] = KS: Arctis 7 Chat
- [A3] = WDM: ヘッドホン(Arctis 7 Game)
入力デバイスの指定
入力デバイスはマイクのみ=ヘッドセットマイクのみなので、迷うことは無い。VoiceMeeterのHARDWARE INPUTで空いている箇所に割り当てれば良い。マイクのドライバはKSが無いため、必然的にWDMドライバを選ぶ事になる。
以上でデバイスの指定は完了、続いては入出力の指定となる。
VoiceMeeterはこれが分かり辛い。
入力デバイスの音声入力先を設定
VoiceMeeterの強みである、入力デバイスの出力先を複数指定できる機能を用いて、前提条件の「3. ボイスチャットの音声(自分の声、相手の声の全て)を配信でも流せる様にしたい」を実現させる。設定自体は単純明快。
- ヘッドセットマイクの出力先で[B1]を指定 = VoiceMeeter VAIO Outputに送る
- ヘッドセットマイクの出力先で[B2]も指定 = VoiceMeeter AUX Outputに送る
これで自分の声が2系統のOutputに出力される。VAIO Outputは音声チャットツールのマイク設定で指定し、AUX Outputは配信ツール側での音声入力元として設定すれば良い。
出力デバイスの音声出力元を設定
- VoiceMeeter VAIO Inputで[A3]を指定 = デスクトップの音声をヘッドホン(Arcits 7 Game)に送る
- VoiceMeeter AUX Inputで[A2]を指定 = ボイスチャットの相手の声をヘッドセット イヤホン(Arctis 7 Chat)に送る
- VoiceMeeter AUX Inputで[B2]を指定 = ボイスチャットの相手の声をVoiceMeeter AUX Outputに送る
1,2の設定を行う事で「4. ChatMix Dialで 2, 3 の音量調整を可能にしたい」が実現可能となる。3でボイスチャットの音声を配信に回すための設定なので、配信をしない場合は設定不要、1,2だけで良い。
以上で設定自体は完了。あとは実際に使ってみる。
実稼働
目玉機能であるChatMix Dialの目論見は大成功。
ボイスチャットをしつつ、デスクトップ上の音声(例えばブラウザでYoutubeを再生)の音量を小さくしたい場合にChat Mix Dialをボイスチャット側に回し、デスクトップの音量を小さくできる。逆に音楽に集中したい時はデスクトップの方にDialを回せば良いだけ。
また、配信のために設定したB2への出力も問題なく出来た。DiscordやLINEでの通話を使った通話中継配信も増えてきたのでこの設定の可否は大事だった。
今まではVoiceMeeter側で音量調整を必死こいてやっていたので、これが全部耳元のダイアル周りを調整するだけで完結した。これがもう、楽。手元で管理って本当に良いンゴね。
おわりに
Arctis 7 + VoiceMeeterの連携、どれだけの人がこんな奇特な使い方をするのかどうかは分からないけれど、個人的に非常に満足する環境が出来上がったのは確かなので、マニュアル通りの設定でも十分使える物ではあるが、拡張性を求めるなら試して欲しいと思う。